雨樋の劣化は
屋根に落ちた雨水を集めて排水してくれる雨樋は、屋根から直接地面に雨水が落ちないようにするための重要な役割を果たしています。
雨樋がないと、雨水が屋根から外壁を伝うことになり、外壁の劣化を起こしやすくなります。また、地面に直接雨水が落ちると、家の基礎の部分を傷めてしまう場合もあります。
雨樋は目立つ部品ではありませんが、暮らしや建物を守る重要な役割を果たしているのです。
しかし、雨樋は日光による紫外線や風雨を受け続けているため、劣化しやすいものです。劣化した雨樋をそのまま放置していると、雨水が排出されずに溢れたり、雨樋が外れて機能しなくなったりしてしまいます。
そこで今回は、雨樋の劣化の原因や劣化を見つけたときの対応などについて、詳しく紹介します。
原因になるもの
雨樋が劣化する原因は、経年によるものや気象の影響を受けるもの、耐用年数を迎えた場合など、さまざまなことが考えられます。
ここでは、雨樋の劣化の原因として起こりやすいものを紹介しましょう。
詰まり
雨樋に落ちるのは雨だけではありません。雨樋には、さまざまなゴミや落ち葉も落ちるのです。ゴミや落ち葉は、雨水と違って、排水されて流れません。
そのため、ゴミや落ち葉は溜まり、積み重なると、雨樋を塞いでしまうのです。雨樋が塞がれると、雨水が排水されず、雨漏りなどの不具合の原因になります。
また、ゴミや落ち葉が雨樋に溜まって、腐食してしまうと、腐食が雨樋にも移り、劣化の原因になります。
そのため、ゴミや落ち葉が雨樋に溜まっているときには、不具合や劣化を防ぐために、こまめに掃除するようにしましょう。ただし、注意しなければならないこともあります。
雨樋は高所に設置されている場合もあるため、自分で掃除するときには危険を伴う場合もあるのです。特に2階以上の高所に設置された雨樋の掃除は自分で行わず、専門の業者に依頼するようにしましょう。
傾斜
雨樋は、水平に設置されていません。水平に設置してしまうと、雨水が流れないため、集水器に向かってわずかに傾いて設置されているのです。
しかし、雨樋の傾斜のバランスが崩れていたり、傾きが逆方向に歪んでしまったりしている場合には、雨水が排水されず留まってしまうため、不具合や劣化の原因になります。
傾斜が集水器に向かっていないときには、雨樋の設置に必要な金属に劣化が起き、不具合を招いている場合もあります。
金具の劣化の場合は、交換をすれば、傾斜は元に戻ります。ただし、自分で無理に金具を曲げて修理すると、かえって金具を傷めることになるため注意しましょう。
雨樋の傾斜は、10mで約3㎝から5㎝程度が適切だといわれています。雨樋の点検をするときには、この傾斜の角度が保たれているかを確認しましょう。
経年
雨樋の耐用年数は、約20年から25年程度です。これを過ぎると劣化が始まり、ひび割れや金具の緩みなどが起きやすくなります。また、気象による影響で壊れやすくなります。
耐用年数を迎えている、または耐用年数が近づいている雨樋では、すでに劣化が始まっている場合もあるため、雨水がしっかりと排水されているかなどを確認するようにしましょう。
劣化の症状
雨樋が外れていたり、壊れたりしているときは、劣化が始まっている可能性が高く、そのままにしておくと、雨水がうまく排水されないため危険です。
劣化と思われる症状を見つけたら、修理や交換をしましょう。
広い範囲に劣化が起きておらず、雨樋の限られた範囲で起きている劣化であれば、部分的な補修や交換で対応できる場合もあります。
ただし、自分で判断せず、ほかの箇所に劣化が起きていないかなどを専門の業者に確認してもらいましょう。
気象によるものも
雨樋は、日光による紫外線や風雨を受け続けています。そのため、気象の影響を受けて、不具合が起きることも少なくありません。
特に台風や豪雨などで、強風に遭ったり、多量の雨水を排水したりしたあとは、壊れることがあります。また、壊れた部分から劣化が始まることもあります。
強風を受けたあとや、多量の雨水を排水したあとは、雨樋に不具合が起きていないか確認するようにしましょう。
劣化を見つけたら
部品の緩みや少し外れた程度の劣化であれば、雨樋の修理を自分でするという人もいるでしょう。実際にホームセンターなどで金具や道具を購入することもできます。
しかし、自分でできる補修は、あくまでも応急処置程度であると認識しておくことが大切です。
DIYでは一時的に補修ができますが、雨樋に起きた不具合を修復することはできません。また劣化が起きている雨樋は、交換が必要です。
雨樋の交換は、高所作業であるうえに、専門の知識と技術が必要であるため、雨樋の劣化を見つけたら、できる限り早く業者に修理を依頼しましょう。
劣化を遅らせるために
雨樋の劣化を遅らせたり、不具合に早く気づいたりするためには、定期的な点検とメンテナンスが欠かせません。
雨樋に劣化が始まっていない場合でも、雨水がうまく流れなかったり、ゴミや落ち葉が溜まったりすれば、その箇所から劣化が始まり、雨樋全体が傷んでしまいます。
また、劣化したままの雨樋をそのままにしておくと、雨水がうまく排水されず危険です。加えて、雨水がうまく排水されないと、建物を傷めてしまうのです。
定期的な点検とメンテナンスを専門の業者に依頼し、劣化を遅らせるための適切な対応を取りましょう。
劣化を早く発見できれば、危険を避けられるだけではなく、補修にかかる費用や時間を抑えられます。
まとめ
今回は、雨樋の劣化の原因と対応を紹介しました。
雨樋は、常に日光による紫外線や風雨を受け続けているため、劣化が生じます。特に耐用年数である約20年から25年程度を迎える雨樋では、すでに劣化が始まっている場合もあります。
しかし、耐用年数を迎えていないからといって、劣化しないわけではありません。
台風や豪雨で、多量の雨水を排水していれば、不具合が起きている可能性もあります。また、ゴミや落ち葉が溜まっていたり、傾斜が崩れていたりすると、その箇所から劣化が広がることがあります。
雨樋の状態を知るためには、自分で確認するのではなく、専門の業者に依頼しましょう。また、点検とメンテナンスを行い、都度適切な修理をすることも、雨樋の劣化を防ぐ方法です。